今日スマートフォンのNHKニュースアプリで次のようなニュースを見つけた。「センター試験に遅れられない受験生を痴漢から守ろうと呼びかけるイベント」だそうである。
自分は今まで、ネット上の記事などの情報から「駅間(次にドアが開くまでの時間)が長くて、混雑率が高い路線・車両では痴漢の発生率が高い」ということくらいしか知らなかった。この内容もただの噂の範疇で間違っているのかもしれない。満員電車に乗る機会もそれなりにあったけれど、実際に痴漢の現場に遭遇したこともなく、どのような場所・条件で起こるかなんて分からなかった。
上記NHKのニュースを見て、「遅れられない重要な用事がある人は痴漢されても警察に突き出す可能性は低いのか、なるほど」と思ってしまった。そして、きっと就職活動の面接に向かう学生なども同じ状況なのではないかと。
痴漢の常習犯にしてみれば、こんな情報は当たり前なのかもしれないし、年に数回しかないような機会を狙うこともないのかもしれないけれど、こんな情報をマスコミが広げてしまうと「魔が差して」しまう人が出ないとも限らない。(日本は報道自由度が先進国では最低レベル《世界報道自由度ランキング on Wikipedia》とはいえ)当然報道の自由はあるわけで、報道を自粛すべきと言うつもりはない。マスコミが報道しなくとも、(日本では根強い人気の)Twitterなどでバズれば広く知れ渡ることではある。
ただ、とても気になったのはこのイベントを主催しているのが、痴漢発生情報をユーザーに提供してもらって可視化するなどのアプリ・サービスを開発するベンダーが行っている点。

マネタイズのために行っているわけではないのかもしれないけれど、ある意味このサービスは「痴漢がなくならない」ことによって成立するものだと言える。もしサービスによる可視化などの効果で痴漢を減少させることに成功すれば、多くの人にアプリをインストールしてもらう必要はなくなってしまう。そうすると、今度はこのアプリ・サービスの存在が与えていた「抑止力」はなくなってしまうことになる。アプローチとしての有効性に疑問符が付く。
違う観点として、この事例を参考に「慈善活動を装った悪質アプリ」のようなものが生み出されないか、ということが気になった。こういった慈善活動はどうしても「情弱ホイホイ」的な側面があって、人の善意につけ込んでバックグラウンドで個人情報を盗み出すような悪意のあるアプリをインストールさせようという人が現れても何ら不思議はない。
全体として、「社会問題を解決するためのアプローチ」は非常に難しいものなのだと考えさせられたニュースだった。

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